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逆シュミレーション音楽の拡がり

逆シミュレーション音楽というコンセプトは、三輪眞弘のみならず他のアーティストらによって継承され様々な形で派生しています。また、伝統音楽や伝統楽器を新たに問い直す「ありえたかもしれない音楽」へと展開しました。さらに、五線譜に記されたオーケストラ作品も国内外で発表されました。

映像版「極東の架空の島の唄」

“手順派”合同祭「極東の架空の島の唄」は、2007年に三宅島で行われた公演です。「離島で体験する架空の民族芸能」と銘打たれたこの公演では、三宅島の海岸や広場、島の人々が集まる野外施設を巡りながら、逆シミュレーション音楽の新作が披露されました。このときの様子は前田真二郎による映像作品《a video sketch "Songs of Imaginary Far East Islands"》として記録されています。

愛の讃歌ーガムランアンブルのための

三輪眞弘は「逆シミュレーション音楽」を西洋音楽の必然的な帰結だと述べています。そこで「日本人によって、ガムランの楽器で西洋音楽を創る」という態度のもと《愛の賛歌》はつくられました。これは現実には未だ存在してはいないけれど、もしかしたら地上に存在するかもしれない「ありえたかもしれない音楽」としての試みです。

記譜された逆シミュレーション音楽

逆シミュレーション音楽には、「弦楽のための、369 B氏へのオマージュ」(2006)や、「オーケストラのための、村松ギヤ?エンジンによるボレロ」(2003)など、オーケストラ作品があります。逆シミュレーション音楽は規則による計算をしながら演奏を続けるものですが、定義にもあるように、それが現実的に困難な場合は、あらかじめコンピュータによってシミュレーションされた音楽を楽譜に記すことも認められています。逆シミュレーション音楽の「記譜された」もうひとつの展開です。なお、これらは2012年に発売されたCD「三輪眞弘作品集村松ギヤ(春の祭典)」に収録されています。


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