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08年02月25日[IAMAS2008コラム]先生の目線:第6回

「先生の目線」と題したコラムも6回目。IAMAS2008いよいよ来週末開幕です。
第四回、第五回とアカデミーの先生のコメントが続いたところで、今回は大学院スタジオ2教授の三輪眞弘教授からコメントを頂きました。

[三輪先生からのコメント]
卒業制作発表、修士論文発表も終わりいよいよ卒制展。理屈では作品はもう完成しているし(!)評価も終わっているのであとはそれをきちんと並べるだけで良い…はずなのだが現実はそれほど甘くない。
展覧会という場で不特定多数の来場者に作品をどのようにアピールできるのか?は、学内で評価された個別の作品の面白さや完成度とはまたまったく別の次元と大きく関係してくるのだ。「展覧会という文脈」である。学生全員が力を合わせて一体どのような「文脈」を創るのか?そしてその「文脈」の中に自分の作品をどのように位置づけ「意味」を生み出すのか?…こう書いてみると展覧会とはまさに「言葉」、あるいは凝縮された社会そのものだとも言えるだろう。つまり、個々の作品が自己主張ばかりしていても「文脈」は生み出せない。しかし「文脈」を生み出すものこそ個々の作品(の総体)であるという不思議な関係だ。それは、IAMASがけっこう得意な(?)「洗練された見せ方」に大きく関わりつつも、もっと本質的なことなのである。
ひとつだけ取り出してみると特別面白いものに見えなかった作品が、この「文脈」の中で突然輝いてくるという奇跡が起きることもあれば、そのまったく逆のことが起きる危険性もある。特に、ちっぽけな学校なのに、生まれてくる作品のスタイルがばらばら(=多様)なIAMASの作品展ではこのことが大切だし、また挑戦する甲斐もあるというものだ。個々の作品を越えたところに浮かび上がってくる「文脈」と個々の作品それぞれが主張する「意味」、そのふたつが交わるところにIAMASの2008年がある。つまり、既に完成している(はずの)個々の作品は展覧会の中で人の目に触れる前までは、本当に完成したとは言えないということでもある。

情報芸術大学院大学
スタジオ2教授
三輪眞弘

三輪先生、ありがとうございました。