わが国では多様な意味内容を有するライフ(生命/生活/生)の諸相を、小林(生の哲学?人類学?研究)、金山(地域?コミュニケーション?調査)、カストロ(バイオ?倫理?表現)それぞれの枠組みから精査して、メディア表現研究における現状を明らかにしつつ、その可能性を討究します。本学では岐阜おおがきビエンナーレにおいて、ライフを主題的に扱ったものを二度開催しております(2013年の「LIFE to LIFE?生活から生命へ/生命から生活へ」及び2015年の「日々の裂け目?CRACKS OF DAILY LIFE」)が、そこではライフ(生命/生活/生)を鍵語に、美術、パフォーマンス、思想、アーカイブ、ファッション、建築などさまざまな領域を横断する世界が創造的かつ想像的にとりあげられていました。しかし、地域における生活のありかた、バイオアートにおける倫理的接近、生の哲学の表現への応用といった今日的側面を十全に展開させることは簡単ではありませんでした。と同時に、「環境と生命」をめぐるより大きな問題群はきわめて21世紀的なテーマであり、ビエンナーレで集結=終結させるものではなく、継続的に考究すべきテーマであることは自明であります。そこで、本プロジェクトでは、いままでIAMASがライフについて取り組んできたさまざまな活動を参照しつつ、来たるべきビエンナーレも眺望しつつ、人間的な営為のみならずそうした営為の行使が期待される「人間そのもの」へもアプローチすべく、それぞれの教員の専門性に依拠した研究、発表、制作などをおこない、生命論の豊かな地平を構築することをめざします。
研究代表者 : 小林昌廣
研究分担者 : 金山智子、Juan Manuel Castro