球探足球比分_188比分直播-劲爆体育6年度 球探足球比分_188比分直播-劲爆体育 学位記授与式 学長式辞(2025年3月6日)
2025年3月6日、球探足球比分_188比分直播-劲爆体育6年度 球探足球比分_188比分直播-劲爆体育 学位記授与式を開催しました。今年度は博士前期課程20名、博士後期課程1名が修了しました。授与式では、在校生の有志による第23代リンガーズが《イアマス?リンギング》を演奏しました。
球探足球比分_188比分直播-劲爆体育6年度 学位記授与式 学長式辞 (2025年3月6日)
学長?鈴木宣也
修了の皆さん、本日は誠におめでとうございます。IAMASでの学びを終え、新たな道へと踏み出す皆さんを心から祝福いたします。また、今日という日を迎えるにあたり、支えてこられたご家族や友人、そして教職員の方々にも深く感謝申し上げます。
本日第23期生博士前期課程20名、博士後期課程1名が修了しました。
IAMASはアートやテクノロジーなどの多様な領域が交差し、新たな表現を創造するための学びの場です。皆さんはここで、研究を通じて表現の可能性を探求し、映像、インスタレーション、デザイン、ワークショップ、論文など、さまざまな形で自身のアイデアを具現化してきました。既存の枠にとらわれない新たなメディア表現に挑戦した方もいれば、社会や環境と関わりながら、新しいコミュニケーションの形を模索した方もいるでしょう。実験的なプロジェクトや共同制作を通じて、科学と芸術を結びつけながら、創造的な試みを続けてきた皆さんは、まさに未来のメディア表現者としての第一歩を踏み出しています。
急速に変化し続ける現代社会において、パンデミックや戦争、環境問題など、世界を揺るがす大きな変化が続いています。また我々の身の回りでも、AIやブロックチェーンなどのデジタル技術の進化が見られ、生活をより便利で効率的なものへと変えつつある一方で、情報過多やプライバシー、倫理的課題だけでなく、コミュニケーションや教育など、新たな社会的?技術的課題も次々と生じています。
皆さんはこうした変化を経験し、その中で研究を実践してきました。このような経験は皆さんにとって、とても貴重な経験であると同時に、変化へ対応できる能力を身につけたからこそ、IAMASを修了できたのではないかと思っています。それは、皆さんが自分の感覚を信じて、変化に振り回されることなく、じっくりと社会や自分と向き合いながら、創造力と探究心、そして異分野をつなぐ視点を持って研究できたからだと考えます。
IAMASの学びは単に技術や表現手法に留まらず、社会との関わり方を考えることに重きを置いてきました。情報社会におけるコミュニケーション、テクノロジーの活用による持続可能な未来、芸術を通じた社会への問いかけ。皆さんが取り組んできたこれらのテーマは、今後も重要であり続けることでしょう。社会の変化に適応しながらも、常に批判的な思考を忘れず、柔軟な発想で物事に向き合う必要があります。
そのような中で私たちは、しばしば「ない」ものを探し求めます。自分に欠けているものや、まだ手にしていないものに意識を向けがちです。しかし本当に大切なのは、まず「ある」ものに気付くことではないでしょうか。ゼロから何かを生み出すことも重要ですが、すでに存在するものにまず目を向け、それをどのように再解釈し、新しい意味を吹き込むかが重要であると考えます。目に見えるものだけでなく、音や感覚、人々の思い、社会の動き。そうした「ある」ものの中にこそ、創造の種は宿っています。
ちょうど今、愛知県美術館で展覧会が開催されているパウル?クレー は「芸術とは目に見えるものを複製することではない、見えないものを見えるようにすることだ」と語りました。
すでに持っている知識や経験、支えてくれる仲間、積み重ねてきた努力。それらは皆さんの中に確かに存在し、未来を切り拓く大きな力となるはずです。皆さんがこれから出会う世界の中で、今あるものを深く観察し、そこから新たな価値を見出し、創造していくことを願っています。
さて、皆さんの修士制作ではコミュニケーションをテーマとしたものが多く見られました。SNSを代表とする情報メディアは、効率的、効果的にコミュニケーションできる利点がある一方で、私たちがこれまであまり意識してこなかった、人と人との対話の中にある本質的な要素に気付かせてくれます。私たちは、五感を通じて無意識のうちにその場のあらゆる情報を感知し、話し方や仕草、状況や文脈といったさまざまな要素を総合してコミュニケーションをおこなっています。しかし、デジタルメディアが発展するにつれ、こうした非言語的な要素がどのように変化し、私たちの対話にどのような影響を与えているのかを改めて考える必要があるのではないでしょうか。
20世紀にアメリカで活躍した理論物理学者であり哲学者であるデヴィッド?ボームは次のようなことを言っています。誰もが望む未来を作るための方法は対話である。対話とは議論と違って特に目的を定めず、いかなる結論も求めるものではなく、ここで重要なのは、自分の意見に固執して人の意見を否定したり、自分の意見を押し通すことで議論に勝とうとする態度を捨てることである。と述べています。さらに、対話は感情を共有し、友情を育むことで、よりオープンになり、互いを信用するようになる。そのような状況から隠されていた「真実」が見出され、真の「知性」が働き出すのだ、と言っています。
この20世紀にボームが論じた状況と異なる点は、デジタル技術を含むあらゆる表現をも対話に使うことができるようになっている点です。表現が多様になっているからこそ複雑性を増し、問題が散財しており、皆さんがそれを感じ取ったからこそ、これらの研究テーマとなったのではないかと思います。また、このような問題へチャレンジすることがメディア表現の役割りのひとつであり、皆さんが社会へ出て活躍することの意義がここにあるのだと私は考えます。
これからの社会は変化の続くことが予想されます。そして皆さんの取り組んでいるメディア表現は、答えの見えない問題への探究です。皆さんは、ある時には、迷いや困難に直面することもあるでしょう。その時は、IAMASにて仲間たちと語り合い、対話し、夜を徹して作品に向き合った日々を思い出してください。その中で生まれた情熱やひらめきこそが、これからの皆さんの道を力強く照らす灯火となるはずです。さらに、こうしたメディア表現にアプローチするためには、多様な人とのつながりが欠かせません。新たなつながりの中で、自分の視野を如何に更新することができるか、そして、社会が向かっている先を、どのように見通すことができるのか、その力が求められています。
皆さんは、IAMASを修了してからも、これまで以上に多くの人との対話を大切にし、より真の知性へとつなげていかれるとともに、「失敗を恐れず」に、「考え続けること」、「実践すること」を通じて、この混乱した社会に突破口を見い出してくれることを期待しております。
修了する皆さんの今後のご活躍とご健勝を祈念し、式辞とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。